人の立場で物事を考える僕は、人の意思を常に尊重している。
そして怒りを制御する修行はして来たと自負してる。
それでも何かに僕はイラついていた、その原因は愛弟子の退会の裏にあるひとりの男の悪意だといまさら気がついた。
先日一年ぶりに帰還した同志がその愛弟子の退会の顛末を聞いてものすごく憤慨していた。
それを見て目が覚めた、僕は相手の立場を尊重し過ぎた為にその理不尽に怒る事を忘れていたのだ。
百歩譲って退会も引退も認めよう、しかし十年ものあいだ家族同様の付き合いをして来た道場の仲間たちとの連絡をすべてブロックする行為は明らかに人の道を外れているのだ。
そしてそれはあの律儀な彼女ひとりの意思で無い事は明確だ、怒り矛先は決まった、それでも僕が直接手を下すまでもない。
何故なら天網恢々疎にして漏らさずで、そんな自分の支配欲を満たす為だけに彼女が自分の努力で積み上げた栄光の人生を、あたかも私物のように簡単に潰してしまった理不尽な男を天が許す訳がないからだ。





